ワーママ・ケアマネたきぼんの介護・子育て

ケアマネたきぼんのこころが軽くなる介護・子育て・生活のヒント

特定施設介護。とにかく空室をなくせとの指令に翻弄される。それでいいのか?と営業への疑問。

特定施設でケアマネをしています。

私の勤める施設では、残念ながらご逝去が続き、空き室が9室に( ゚Д゚)。

オープン以来初めての空室の多さということで、上層部からは早く入居を・・!と

施設長にはプレッシャーがかかっていたのです(;^_^A

 

新型コロナ感染拡大により、この夏までは見学希望や入居希望が激減していました。

9月になり、少しづつ営業が動き出しました。

 

ありがたいことに入居希望が相次ぎ、9月23~29日までの1週間に、6名の入居が

決まる!!!

 

ありがたいけれど、ありえないスピードです(;´Д`)

 

なぜならば、上期が9月で〆だからです。

営業部隊は上期の売り上げに加えようと、必死でした。

施設としても上期中に空室を減らすことに命を懸けているので、こちらも必死。

 

しかし、それは営業上のこと。全くの会社の都合です。

 

このような入居受け入れ方が、入居者様に何かメリットがあるのだろうか。

受け入れる現場スタッフは、しっかり準備して迎え入れられるのだろうか。

 

私はNOだと思います。今回感じたデメリット。

 

1.入居者の情報を把握しきれなかった。

9月上旬から営業(=生活相談員)より入居希望情報を得ました。しかしその内容は、

まだ概要のみ。ご本人がどのような方かは未知です。生活の課題がどこにあるのかなど

この時点ではわかりません。実際にお会いして話を聞く、身体状況を確認することが必要です。

9月上旬に同時に6人もの情報があり、入居日も23~29日という短期間での受け入れ。

情報を得るにも一人一人に細かく話を聞く時間を充分に取れませんでした。

そして、施設内の多職種での検討時間もしっかり取れませんでした。

しかも同時進行なので、この情報が誰の情報か混乱を生じました。

 

2.十分な受け入れ準備ができなかった。

生活の要望、施設での過ごし方の希望など、聞き取りをしていましたが、面談→施設での情報共有→受け入れ準備にしっかり時間が取ることができず受け入れをせざるを得ませんでした。施設側の準備不足で、入居者が期待していた生活を提供できなかったのではと思っています。

それは入居者やご家族にとって、「こんなはずではなかった。」「話が違う。」という不満に繋がり、施設への不信感の種になってしまいます。

 

3.事故が起きるリスクがあった。

実際は介護事故は起きませんでした。

しかし、短い時間で同時に複数の情報を処理しなければならなかったので、一歩間違えれば事故に繋がったと思います。

 

特定施設で福祉事業を提供しているとはいえ、母体は株式会社です。

やはり売り上げ・利益、効率化、経費削減を求められます。

そこが民間企業の特性。社会福祉法人とは入居者の受け入れ視点が異なる部分です。

 

私は前職は社会福祉法人で勤務していました。併設の特養での入居者受け入れはもう少し慎重に、様々な情報を多職種で検討し受け入れ準備を行っていました。申込書、身体情報、医療情報、健康診断書などすべての書類が揃ってから、入所判定会議を定期開催し、次月に入所するスケジュールで余裕をもって受け入れ準備を行っていました。

そのため、施設スタッフ全員が必要情報を把握し、しっかり準備ができました。

「こんなはずではなかった。」というような、入居者と施設側の認識のずれは起こりにくかったと思います。

確かに特養と特定施設とでは事情は異なります。特養は待機者が多く、空室が出れば特に施設側が営業することはなく、すぐに順番待ちの方の入居になります。施設側の状況に合わない場合はその方は次点になることもあります。施設側の選択が反映されます。

イニチアチブを施設側が持つことができたのです。

 

民間企業である特定施設ではそうはいきません。費用も高額で、待機ができるほど申込者はいません。対象者は富裕層になります。空室が出たら、積極的な営業活動をしなければ入居希望者を得ることができないのです。厳しい世界です。

 

今回はそういう状況での同時期6名の入居受け入れでした。

連日残業です。ケアマネの書類作成や看護師の準備が間に合いません。介護スタッフとの情報共有する時間も限られています。時間がない中、無事に入居受け入れしました。

 

しかし1週間後、ある一人の入居者様から「こんなはずじゃなかった。」とのお言葉。

その方は「歌を歌う時間を持ちたい。」とご希望していたのですが、入居1週間の間に、その希望を叶える時間を提供できなかったのです。

生活の要望はスタッフ間で共有していました。しかし、新規入居者対応6名の対応に追われ、個別活動まで手が回らなかったというのが施設側の事情でした。それは入居者には関係ない事情で、希望していた活動を提供してもらえなかったとの残念な気持ちにさせてしまいました。情報共有していたものの、どのように提供していくかの計画検討が不十分なまま受け入れしたことが、このようなことを招いたと思います。

 

入居者と施設側と、両者がしっかり互いの情報を確認し、しっかり受け入れ準備を整えておかなければ、お互いが不幸になってしまうと実感しました。

 

今回の状況を振り返り、受け入れ態勢について最善の方法を考えたいと思います。

同じことを繰り返さぬように・・・。

 

難しいと感じた、今回の受け入れでした。

施設は終の棲家です。後悔のない施設生活のために、どのように入居者と施設側が話し合い、情報共有していくか。お互いが後悔のない入居と受け入れをするにはどうしたらいいか。

 

しっかり考えていかなくてはならないと思いました。