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「ケーキを切れない非行少年たち」を読んで

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20207新書大賞 第二位の人気本

「ケーキの切れない非行少年たち」を読みました。

 

タイトルに引かれ、ずっと読んでみたかった本ですが、

やっと手に入れました。

 

犯罪をおかす少年は認知のゆがみがある。

小学2年生頃から出す『困っている』のサイン。

サインを出しているのに、家庭環境や養育・教育環境で見逃されてしまう。

見逃されてしまうから、支援に繋がらない。

生活や学習に困った感を持ちながら成長していく。困ったことがやがて社会の不適応へと繋がっていく・・・・。

筆者が少年院で診た、非行少年たちの実情と問題提起がつづられていました。

 

筆者によると、非行少年の中には軽い知的障害や発達障害のある少年が多かったとのこと。『困っている』というサインに早期に気づき、適切な支援につなげられていたら、

この少年たちは犯罪を犯すことなく、違う人生を歩んだかもしれない。

そのサインは小2まで位に出ていたという。幼稚園や保育園、小学校で気づくことはできなかったのだろうか。読んでいて切なくなりました。

 

私の息子は4歳の頃に、保育園の年中クラスの集団生活に馴染めないことがわかりました。自分の感情をコンロトールすることができず、言葉で説明することが苦手で、お友達とトラブルを起こすことが多かった。カッとなってすぐ手が出て、お友達をたたいたり、押したり…。3歳の頃はそういう感じでも、お友達もみな同じ状況だったので、それほど目立ちませんでした。

しかし、年中さんの年齢になると、精神的に成長し、言葉で自分の気持ちを伝え、喧嘩やトラブルがあっても、子どもたちが言葉で伝え、解決できる力が備わってきます。

先生の話をしっかり聞き、善悪の判断もできるようになり、感情のコントロールも上手になる年齢です。

息子は4歳になってもそのような成長がみられず、3歳児以下のような行動でお友達をトラブルを起こしていました。

度重なるそのような集団不適合な行動に、当時の担任と園長先生から面談の相談がありました。そこで言われたのは、

「発達に心配はあるので、療育相談室へ今から電話しましょう。」

という、半ば強引な提案でした。

 

発達に問題があるなんて、と唖然としました。怒りも感じました。

でも、今までの彼の成長や行動を振り返ると、私も「おかしいな」とうすうす感じていたのです。ただ、認めたくない気持ちが勝っていたのだと思います。

 

保育園の職員室からすぐ電話。療育相談室も保育園から、しかも先生方も一緒に「いる中での相談ということで、緊急性を感じてくれた様子。その後、とんとん拍子に療育を受ける段取りとなりました。

 

細かい成長の記録は、後日記事にしていきたいと思っていますが、

今思うのは、4歳の時点で、療育へ繋げられて良かったということです。

小学校6年までの8年間、息子は療育機関での支援、教育相談室での支援、情緒学級での支援を受けることができました。小学校は普通学級に在籍しながらの通級利用でした。

はっきりした診断はありませんが、注意欠陥多動症ADHD)の傾向があるとわかりました。そのために、

・感情のコントロールができない。

・じっと座っていられない。

・気が散る。

・周囲の状況に合わない発言や行動を行う。

・思ったことをすぐに口に出す。

・言葉で自分の気持ちを説明できず、手が出る、足が出る。

・不注意

・忘れ物が多い。

・片付けられない。整理整頓が苦手。すぐ物をなくす。

・相手の気持ちがわからない。想像することができない。

・二つのことを同時にする作業が苦手。

・耳からの情報は頭に入りにくい。  etc・・・

 

集団生活を送るには「困ったこと」ばかりの特性でした。

 

早期に療育にて支援を受けたことで、認知行動療法にて練習を重ねることで、

「認知のゆがみ」をトレーニングしてきたのだと思います。

 

特性を治すことはできませんが、自分の考え方を変えることで、自分をコントロールできるようになってきたのです。

 

本に出てくる少年たちも、同じように幼稚園や保育園の集団生活で、困っていたのではないかと思います。大人が気づいて、適切な支援へ繋げることができたら。

早期に療育などの支援へ繋げることの大切さを、改めて感じました。

 

なんでそんな風に生んでしまったのだろうかという罪悪感でいっぱいでした。

発達に障害があるなんて、受け入れることができませんでした。

でも、先生方が背中を押してくれました。説得された感はありますが、その道に乗ったことで、私も息子も多くを学びました。息子に合った方法で、担任や学校全体を巻き込んで息子を支えることができたと思います。

 

発達に遅れや障害がある子が必ず非行を犯すというわけではありません。

しかし、生活に「困ったこと」を感じている子どもが、その「困ったこと」を乗り越えられるような考え方や工夫を学ぶことで、その子に合った周囲の支援を受けることで、

集団生活に適合し、学習や活動をみんなと一緒にできるようになるのだと、そういう機会を持てるのだということを、広く知ってほしいと思いました。